「へそ展」日記

ひとつの展覧会の裏側には、展覧会を訪れただけでは見えない、さまざまなプロセスと試行錯誤があります。「へそ展」日記は、「へそまがり日本美術ー禅画からヘタウマまで」展、略して「へそ展」に関わるスタッフが、折々に皆さんにお伝えしたいことを発信するブログです。


布袋と達磨

昨今、おうち時間が増えた、という方。

身の回りのモノや、自分の心と体の状態について、あらためて見つめてみた、という方も多いのではないでしょうか。

「へそ展」では、そんなわたしたちに、示唆や刺激をあたえてくれる作品をご紹介します。

示唆に富んでいるのは、究極のミニマリスト「布袋」さん。

所持品は、袋ひとつで、ポータブル。

白隠慧鶴《布袋図》(部分)

この袋には、「福」がたくさん入っているみたい。

 

常に、笑みを絶やしません。

松花堂昭乗《布袋図》(部分)

笑顔がかわいい、中年男性。

子どもに囲まれている場面が多いのは、無垢な心をもつ証拠。

雪村周継《布袋唐子図》(部分)

顔をいじられても、ノープロブレム!?

モノを持たない布袋さんの心は、幸福感で満たされているようです。

「幸福の追求」とはなにか、そんなことまで考えさせられます。

刺激を与えてくれるのは、転んでいない「達磨」さん。

面壁九年(壁に向かって9年間座禅した)の驚異的集中力。

 

東嶺円慈《禅経達磨之尊像図》(部分)

かなり集中しているので、強面です。

同上(部分)

消えたり、透けたり、つまり、超人的な存在として描かれることがあります。

福原五岳《面壁達磨図》(部分)

でも、「達磨さんが転んだ」の歌でも知られているように、子どもにとっても身近な存在。

その振り幅の大きさにも驚かされます。

禅画に描かれる布袋さんや達磨さんは、究極的で、ストイック過ぎて、なかなか真似はできません。

けれど、ふと、立ち止まって、日常を見つめなおす時。

布袋さんの笑顔や、達磨さんの強面から、言葉にならないメッセージを受け取ることができるような気がします。

(北海道立近代美術館、齊藤)

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