「へそ展」日記

ひとつの展覧会の裏側には、展覧会を訪れただけでは見えない、さまざまなプロセスと試行錯誤があります。「へそ展」日記は、「へそまがり日本美術ー禅画からヘタウマまで」展、略して「へそ展」に関わるスタッフが、折々に皆さんにお伝えしたいことを発信するブログです。


「へそぶら」札幌をゆく

府中でのへそ展開催中に「へそ展日記」で、ごく一部の方にのみ熱烈にご支持をいただきました、「へそぶら」。せっかく美術館に出かけるのなら、周辺散策も楽しんでみようというご提案なのですが、へそ展北海道上陸ということで、今回は札幌でのぶらぶらをレポートいたします。

担当者はこれまで何度となく札幌を訪れているものの、実はほぼ仕事でしか訪れたことがなく、まったく土地勘がありません。
ということでここは、「路上観察」という、あまり人には言いづらい趣味を持つ者が、とくにあてもなく札幌をうろうろするとどういうことになるか、という「へそまがり」な散策を皆様に共有したいと思います。「興味ないよ」という声が聞こえてきそう……いや、確かに聞こえましたが、気にせず続けます。

札幌に降り立ったのは、へそ展開幕直前。新千歳空港からまずは会場である北海道立近代美術館に向かい、そこからぶらぶらしようと思います。

空港から快速エアポートで新札幌へ行き、東西線で美術館最寄りの西18丁目駅を目指します。一気に札幌駅まで出てしまってもよかったのですが、途中、菊水駅で下車して、ぜひ見ておきたいものがあったのです。

これです。

菊水円形歩道橋。六つ又路に架かる、「正円」の歩道橋です。
円形歩道橋というのは実はかなりレアで、全国でも数えるほどしかありません。しかも、この菊水歩道橋は、1971年に日本で最初に造られた円形歩道橋なのです。レア中のレアです。

▲googleマップで確認すると、見事に正円を描いていますね。
▲この迫力。
▲絵になりますねえ。
▲階段のループ形状もカッコいい!
▲パノラマでも。
▲タイムラプスでも。
▲影もイカす!

興奮して写真を撮りまくってしまいました。唯一残念だったのは、補修工事が行われていて、1周ぐるっと回ることが出来なかったこと。またいずれ、訪れたいと思います。

最初の寄り道から時間をかけすぎてしまいました。この日の札幌は気温30℃を超え、熱中症になりそうです。再び東西線に乗って、美術館を目指します。

▲道近美は4番出口から2ブロック
▲「トマソン」を見つけたり(トマソンについては、「超芸術トマソン」で検索してみてください)
▲「ヒライ」さんの書体やいい感じのモジャ物件が気になりながら歩いていると
▲ついに到着! 北海道立近代美術館

へそ展の看板を目にして、テンションがあがります。展示の様子も気になりますが、まずはここから散策開始です。

道近美も緑に囲まれた素敵な美術館ですが、お隣にも濃い緑の一角があります。「知事公館」です。

1936年に「三井別邸新館」として建築され、1953年から知事公館として利用されているとのこと。広大な敷地に建てられたイギリス式の木造住宅建築は国の登録有形文化財です。

知事公館を後にして、なんとなく大通公園からテレビ塔を目指すことにします。大通公園に向けて歩いていますと、これまたこんもりとした一角があらわれます。

札幌市資料館です。裏側から入ります。

資料館の建物は旧札幌控訴院(高等裁判所)。1926年の建築で、全国7箇所あった控訴院のうち、建物が現存するのはこの札幌と名古屋だけなのだそうです。
昨年12月に国の重要文化財に指定された、「ほやほやの重文」です。

重文を近づいたり離れたりしながら眺めていると、なんだかおかしなものに気がつきます。

▲?
▲?
▲!

巨大な石がぶっきらぼうに置かれています。これもパブリックアートなのかしらと、近づいてみると、なんと島袋道浩さんの「一石を投じる」という作品でした。
2014年の札幌国際芸術祭で北3条広場に展示されたものが移設されて展示されているのだとか。
昨年、ワタリウム美術館で行われた島袋さんと会田誠さんのトークイベントを聴いてからというもの、パブリックアートが気になっていた私。この札幌での島袋さんの作品との邂逅に思わず「おぅ!」というか「おふ!」というか、とにかく変な声が出てしまいました。
重文の前に鎮座する、巨大な石。なんだかかっこいいじゃないですか。

札幌市資料館は大通公園の西端に位置しますので、そのまま大通公園に入ります。

大通公園では、出てくる出てくるパブリックアートの数々。

▲「若い女の像」だそうです
▲なんの脈絡もなく狛犬? いやシーサー? みたいのがいたり
▲姉妹都市ミュンヘンから贈られたマイバウムがあったり
▲銅像もいろいろ
▲これは「漁民の像」
▲エゾフクロウの言葉にエゾシカ、ハシブトガラス、エゾウサギが耳を傾けている図、だそうです
▲これまた唐突なライオン噴水

さすがは大通り公園。見所盛りだくさんです。ただこの時期はオリンピックのためブロックされているエリアが多く、いったん離れます。

▲見事なトマソン(これは「純粋階段」ですね)を見つけたりしながらうろうろしていますと、
▲へそ展ポスター発見! 道新ビルです。この散策のときは気づかなかったのですが、時計台斜向かいには、巨大なパネルが架けられていました

へそ展からへそ展につながったところで、気温の高さもあり、体力が限界となりましたので、ホテルへ向かうことにします。散策時間は円形歩道橋起点ですと3時間ほどでしょうか。レアな建造物からパブリックアートまで、札幌の魅力に触れる楽しい散策でした。

(図録制作チーム、藤枝)

▲おまけ。ホテルに向かう途中で見つけた素敵物件。明治34年築。当時の面影のまま今も営業する薬局だそうです。

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